Kaahe Chhed Mohe  「Devdas」(2002年)の中でマードゥリー・ディークシト演じるタワーイフ(踊り子)チャンドラムキーがカッタクを踊るシーンで流れる曲。カッタクの巨匠パンディト・ビルジュー・マハーラージが作詞・作曲し、冒頭の数ラインを歌っている。また、ダンスの振り付けもビルジュー・マハーラージによるものである。歌のテーマは、クリシュナに悪戯されたゴーピー(牧女)が、クリシュナの育ての母親ヤショーダーに不平を言うというもの。だが、実際にはゴーピーはクリシュナのことが好きで、その悪戯を悪く思っていないのである。歌詞はブラジ方言で書かれている。
काहे छेड़ मोहे
アルバム Devdas
作曲 Ismail Darbar
作詞 Pandit Birju Maharaj
歌手 Pandit Birju Maharaj, Madhuri Dixit, Kavita Subramaniam
踊り マードゥリー・ディークシト

マールティー グンダーエ ケーシュ ピャーレー グングラーレー
मालती गुँधाय केश प्यारे घुँघरारे
ジャスミンの花の髪飾り、髪は愛らしい巻き毛

マールティー グンダーエ ケーシュ ピャーレー グングラーレー
मालती गुँधाय केश प्यारे घुँघरारे
ジャスミンの花の髪飾り、髪は愛らしい巻き毛

ムク ダーミニー スィ ダムカト
मुख दामिनी सी दमकत
顔は稲妻のように輝き

チャール マトワーリー
चाल मतवारी
歩く姿は艶かしい

チャール マトワーリー
चाल मतवारी
歩く姿は艶かしい

チャール マトワーリー
चाल मतवारी
歩く姿は艶かしい



パンディト・ビルジュー・マハーラージの歌声。ゴーピー(牧女)の美しい容姿と艶めかしい歩き方が歌い描かれる。クリシュナの視点を通していると考えていいだろう。
ダーイ シャーム ローク ライー ローク ライー ローク ライー
धाय श्याम रोक लई रोक लई रोक लई
おばさん、クリシュナが私を引き留めたの

ダーイ シャーム ローク ライー アォチャク ムク チューム ライー
धाय श्याम रोक लई औचक मुख चूम लई
おばさん、クリシュナが私を引き留めて、突然顔にキスしたの

ムク チューム ライー ムク チューム ライー
मुख चूम लई मुख चूम लई
顔にキスしたの、顔にキスしたの

マードゥリー・ディークシトの歌声。ゴーピーがダーイー(乳母)つまりヤショーダーに不平を言う。道を歩いていたときにクリシュナが悪戯をして来たのである。
サル セ モーリー チュナリー ガイー ガイー ガイー
सर से मोरी चुनरी गई गई गई
頭からヴェールが落ちてしまったわ

サル セ モーリー チュナリー ガイー サラク サラク サラク
सर से मोरी चुनरी गई सरक सरक सरक
頭からヴェールが落ちてしまったわ、サラッと滑って・・・

サラク サラク サラク サラク サラク サラク
सरक सरक सरक सरक सरक सरक
サラッと滑ってしまったわ、サラッと滑ってしまったわ

チュナリーとは、絞り染めの赤い布のこと。サーリーとしてチュナリーを着、余った布を頭にかけて顔を隠していたが、クリシュナが悪戯をして来たために顔を覆っていた布が落ちてしまったのである。
カーヘー チェール チェール モーヘー ガルワー ラガーイー
काहे छेड़ छेड़ मोहे गरवा लगाई
どうして私に悪戯するの、私を抱きしめたわ

カーヘー チェール チェール モーヘー ガルワー ラガーイー
काहे छेड़ छेड़ मोहे गरवा लगाई
どうして私に悪戯するの、私を抱きしめたわ

カーヘー チェール チェール モーヘー
काहे छेड़ छेड़ मोहे
どうして私に悪戯するの

ここからカヴィター・スブラマニアンの歌声。
ナンド コ ラール アェソー ディート
नंद को लाल ऐसो ढीठ
ナンドの子クリシュナは本当に悪戯好き

ナンド コ ラール アェソー ディート
नंद को लाल ऐसो ढीठ
ナンドの子クリシュナは本当に悪戯好き

ナンドはクリシュナの育ての父親の名。
バルバス モーリー ラージ リーニー ラージ リーニー ラージ リーニー
बरबस मोरी लाज लीन्ही लाज लीन्ही लाज लीन्ही
むりやり私に恥ずかしいことをするの、恥ずかしいことをするの

バルバス モーリー ラージ リーニー
बरबस मोरी लाज लीन्ही
むりやり私に恥ずかしいことをするの

「ラージ(लाज)」とは「恥」という意味だが、インドではこの言葉にもっと深い文化的な意味がある。「恥ずかしいことをする」と訳したが、本当はこの言葉にもっとも近い日本語は「女性の尊厳を奪った」「貞操を奪った」である。しかし、極端な邪推する必要はなく、ここでの「尊厳」とは、キスをしたり抱きついたりヴェールの下の顔を見たりとか、その程度のことである。
ビンダー シャーム マーナト ナーヒー
बिन्दा श्याम मानत नाहीं
ヴリンダーバンのクリシュナは言うこと聞かないわ

ビンダー シャーム マーナト ナーヒー
बिन्दा श्याम मानत नाहीं
ヴリンダーバンのクリシュナは言うこと聞かないわ

カーセー カフーン マェン アプネー ジヤー キ スナト ナーヒー マーイー
कासे कहूँ मैं अपने जिया की सुनत नाहीं माई
どうやって心を打ち明けたらいいの、クリシュナは言うこと聞かないの、ああ

ビンダーとは、クリシュナが幼少時代を過ごしたヴリンダーバンのこと。
カーヘー チェール チェール モーヘー イシュ
काहे छेड़ छेड़ मोहे इश
どうして私に悪戯するの、ああ神様!



映画中、主人公のデーヴダースは幼馴染みの恋人パーローが親の決めた結婚をしてしまい、ふさぎ込む。気晴らしのために親友のチュンニーラールに無理矢理連れられて娼館を訪れ、チャンドラムキーの踊りを鑑賞する。だが、デーヴダースはパーローのことが忘れられない。と、踊りの中でチャンドラムキーは「イシュ(神様!)」と声を出す。それはパーローの口癖でもあった。その言葉を聞いてデーヴダースの心はチャンドラムキーの方へ向き始めるのであった。

ダド キ バリー マトキー
दध की भरी मटकी
ミルクいっぱいの壺を

ダド キ バリー マトキー
दध की भरी मटकी
ミルクいっぱいの壺を

ダド キ バリー マトキー ライー ジャート ラヒー ダガル ビーチュ
दध की भरी मटकी लई जात रही डगर बीच
ミルクいっぱいの壺を持って行く道の途中

アーハト スン
आहट सुन
足音が聞こえたの

アーハト スン
आहट सुन
足音が聞こえたの

アーハト スン ジエラー ガヨー ダラク ダラク ダラク
आहट सुन जियरा गयो धड़क धड़क धड़क
それだけで驚いてしまったわ、ドキドキドキ・・・

ダラク ダラク ダラク ダラク ダラク ダラク
धड़क धड़क धड़क धड़क धड़क धड़क
ドキドキドキ・・・

ここから再びマードゥリー・ディークシトの歌声。
カーヘー チェール チェール チェール モーヘー
काहे छेड़ छेड़ छेड़ मोहे
どうして私に悪戯するの

ここからカヴィター・スブラマニアンの歌声。
カル パクラト チューリヤーン サブ カルキー カルキー カルキー カルキー
कर पकड़त चूड़ियाँ सब करकी करकी करकी करकी
私の手を掴んで、バングルを全て壊してしまったわ、パキパキと・・・

カル パクラト チューリヤーン サブ カルキー カルキー カルキー オー マーイー
कर पकड़त चूड़ियाँ सब करकी करकी करकी ओ माई
私の手を掴んで、バングルを全て壊してしまったわ、パキパキと・・・、ああ

ビンダー シャーム マーナト ナーヒー
बिन्दा श्याम मानत नाहीं
ヴリンダーバンのクリシュナは言うこと聞かないわ

ビンダー シャーム マーナト ナーヒー
बिन्दा श्याम मानत नाहीं
ヴリンダーバンのクリシュナは言うこと聞かないわ

カーセー カフーン マェン アプネー ジヤー キ スナト ナーヒー マーイー
कासे कहूँ मैं अपने जिया की सुनत नाहीं माई
どうやって心を打ち明けたらいいの、クリシュナは言うこと聞かないの、ああ

カーヘー チェール カーヘー チェール カーヘー チェール チェール モーヘー
काहे छेड़ काहे छेड़ काहे छेड़ छेड़ मोहे
どうして私に悪戯するの、どうして私に悪戯するの
「チューリー(バングル)が壊れる」という状況は、「尊厳を奪われる」に近い意味を持つ。