ここはサラスヴァティー様のインド楽器コレクションを収めた部屋です。サラスヴァティー様のもっとも得意とする楽器はヴィーナーですが、ここにある楽器全てを神技的に演奏することができるのですよ。どうぞご自由に見てください。楽器の簡単な説明も書いてあります。でも、お手を触れないで下さいね。
シタール Sitar 今やインドを代表する楽器といっても過言ではない、特徴的な形をした弦楽器。インド古来の楽器であるヴィーナーから発展し、ペルシアの影響も受けながら、13世紀末にはほぼ完成した。「シタール」とはペルシア語で「三本の弦」を意味する。初期のシタールは弦が3本しかなかったことからこの名がついたようだ。
シタールの胴体はカンピョウというカボチャの一種を半分に切って作られている。棹の部分には20個前後の金属製のフレットが紐によって結び付けられており、ある程度自由に移動できるようになっている。フレットの上には通常7本の演奏弦が張られていて、左手の指で押え、右手の人差し指にはめた金属製のピック(ミズラーフ)で弾く。また、フレットの下には12本前後の共鳴弦が張られている。棹の先に付いている球体は共鳴体。
シタールの調弦は演奏するラーガによって決まる。そのためにフレット、演奏弦、共鳴弦を調節しなければならない。西洋の音楽理論に無理やり当てはめて考えると、CからDのキーあたりの音階になるようにするのが一般的のようだ。
シタールを初め、インドの楽器はほとんど床に座って演奏する。シタールの場合、床に足を組んで座り、左足の裏に胴体部分を乗せ、胴体部分の上には右腕を軽く置いて、棹が床から45度くらいの角度になるようにバランスをとる。
タブラー Tabla 正確に言うと、タブラーとは左の写真の右側の小さい方を言うのだが、広義ではこれら二つを合わせてタブラーと呼ぶ。左側の大きい方はバーヤーンと言う。もともとパカーワジュ(ムリダンガ)という両面太鼓があり、それを二つに分けて地面に置き、上から打つことができるように考案されたのがタブラーとバーヤーンである。シタールとおなじく13世紀末頃には完成したと思われる。
タブラーの胴体は木によって、バーヤーンの胴体は金属や素焼きによって作られている。上部の革の中心には黒い円形状のゴムがはめ込まれている。
右側のタブラーは右手で打ち、高い音が出る。左側のバーヤーンは左手で打ち、低い音が出る。どちらも打つ場所や方法によって音色が違い、それらを使い分けて、リズム楽器でありながらあたかも人間が歌っているようなメロディーをも作り出す。
タンブーラー Tambura 主に伴奏に使われる弦楽器。ターンプーラーとも言う。シタールと形状や材質は似ているが、弦が4本しかなく、フレットもない。演奏者はただ4本の弦を順番に指で弾くだけである。一見単純で退屈な楽器のように見えるが、インド音楽においてタンブーラーの出すドローン音(持続音)は欠かせないものであり、インド音楽のコンサートにおいて、曲の始めから終わりまで絶えず音を鳴らしつづける楽器はこのタンブーラーのみであることからもその重要性がわかる。また、タンブーラーの音によってシタール奏者、タブラー奏者など、他の演奏者は調弦を行うので、もっともチューニングに気を使わなくてはならない楽器でもある。
ハルモニウム Harmonium 小型のリード・オルガン。伴奏にも使われる。右手に鍵盤を弾き、左手で後ろにある木の板を動かして丁度アコーディオンのような感じで音を出す。地域やジャンルを問わず、いたるところで使われる楽器である。
サーランギー Sarangi ヴァイオリンのように弓で弦をこすって音を出す撥弦楽器。インド起源で非常に古い歴史を持っているらしい。あぐらをかいて座り、股の間に胴体を置いて縦にし、左肩で支えて抱きかかえるように持ち、左手で弦を押え、右手に持った弓で弦を擦る。一本の木をくりぬいて作られており、演奏弦は3本。その他、共鳴弦が無数に張られ、長い残響音を残す。
サロード Sarod シタールと同じく、ピックによって弦を弾く撥弦楽器だが、楽器の構え方はどちらかというとギターなどに似ていて、横に構え、左手を下から回して弦を押え、右手で弦を弾く。棹の部分に金属板が張られており、音色はまろやかである。
ヴィーナー Vina 主に南インドで使用される撥弦楽器。日本の琵琶の起源でもある。パラミツの木(ジャック・ウッド)をくりぬいて作られ、棹の上には24個のフレットが固定されている。シタールと違い、共鳴弦はなく、7本の弦のみが張られている。
奏法は、あぐらをかいて座り、左膝の上に共鳴体を乗せ、ヴィーナーを横に抱きかかえるようにして左手を棹の下から回して、弦を押える。そして右手の指で弦を弾く。
ヴィチットラ・ヴィーナー Vicittra Vina 普通のヴィーナーとは違い、胴体がないかわりに共鳴体が二つ付いている。ピックを用いて弦を弾く。
ルドラ・ヴィーナー Rudra Vina 北インドのヴィーナー。ビーンとも言う。竹製の棹の両端に共鳴体が取り付けられている。演奏方法はヴィーナーとは異なり、縦に構えて演奏する。
ムリダンガム Mridangam 南インドの太鼓。中央が膨らんだ円筒形の両面太鼓で、あぐらをかき、横にして両手で挟むような形で打って演奏する。主に声楽やヴィーナーなどの伴奏楽器として使われる。
バーンスリー Bansuri 竹製の横笛。一方の端がふさいであり、一列に孔を開けた簡単な構造である。大きさや孔の数も一定しておらず、いろいろな種類のものがある。クリシュナの得意とする楽器でもあり、インド映画の音楽にも頻繁に使われる。
シャハナーイー Shahnai ダブルリードの縦笛。シャハネ、スルナーイーとも呼ばれる。長さは50cm前後で、前面に7孔あり、裏孔はない。管は木製だが、開口部の朝顔は金属製で、リードは藤片の片側をつぶして作られている。吉祥の楽器として婚礼や誕生をはじめとする祝宴や行列、寺院の祭礼などで活躍する他、各種の舞踊や芸能に使われる。
ダマル Damaru インド古来の打楽器。中央がくびれた両面太鼓。シヴァの持ち物でもある。胴体は木、陶器、青銅などからなり、両面の革は紐によって双方に結び付けられている。紐の先に小さな球が付けられており、振り回すことによって音を鳴らす。日本のデンデン太鼓の起源と言われる。
サントゥール Santur カシュミール地方に伝わる箱型の打弦楽器。ピアノの原型と言われるが、定かではない。