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  アルカカットの話 Shiva City




インドにはまったきっかけ

 インドを好きになった最初のきっかけはビートルズとの出会いだと思います。中学の頃から傾倒を始め、高校の頃にはいっぱしのビートル・マニアになっていました。ビートルズの曲の中には『Love You To』や『Within You Without You』など、インドの楽器を使ったものがいくつかあり、自然とインド音楽の予備知識が蓄えられていく・・・人もいるようです。僕もその一人です。

 ビートルズからインドの深遠なる世界へ入ったこともあり、最初はシタールなどのインド音楽に興味のウエイトが置かれていました。しかし、それは興味があっただけで、なかなか行動に現れることはありませんでした。今から考えてみると、インドの泥沼にはまるようになった大きなきっかけはアレしかないように思えるのです。アレとは・・・・・・そう、日本で一大センセーションを巻き起こしたあの映画・・・・・・

『ムトゥ 踊るマハラジャ』・・・!!

 僕の大学は渋谷に近いので、よく渋谷をブラついていました。そんなある日、ふと目に止まった広告。それが映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』のミーナのポスターだったのです。最初は何の映画かよく分からなかったのですが、ミーナのあの視線に意味深なものを感じたのと、「踊るマハラジャ」というサブタイトルが、何やらやたら楽しいイメージとなって脳裏に浮かんで来たのとが動機となって、本当に予備知識なしでふらっと渋谷シネマライズという映画館に入ったのだと記憶しています。その頃は『ムトゥ 踊るマハラジャ』は大ヒット前で、客もあんまりいませんでした。おそらくB級映画だろう、という予感はありましたが、B級ならB級なりに楽しませてもらえればそれでいいやって感じでした。

 映画が始まりました。思ったとおり、あんまり映像がよくありません。こりゃ失敗したかな、と後悔モードに入っていた頃・・・あの名曲『Orvan orvan』が始まったのです。本当に予備知識なしだったので、この映画がコメディーなのかアクションなのかラブロマンスなのか、皆目見当もつきませんでしたが、インド映画はその全てだったのですね。『Orvan orvan』が始まると、他の観客も「どうもこれはもしかして無茶苦茶面白い映画なのではないか」と疑問をもち始めたみたいで、笑い声が少しずつ聞こえてくるようになりました。特にあのラジニの顔が3つ出てきてそれぞれ歌うシーンは、爆笑の起爆剤になりました。

これは面白すぎる!!

そう気付いたのは僕だけではありませんでした。映画館の観客が一体となって爆笑しているその雰囲気は、映画館に割と足繁く通っていた僕にとっても新鮮なものでした。日本人はけっこう映画見ててもあんまり反応しない民族だと思っていたのですが、それは間違いでした。今まで見せられてきた映画がつまらなすぎたのです。日本人の笑いのレベルにそぐわなかったのでしょう。しかし『ムトゥ 踊るマハラジャ』は違いました。例えその日一日嫌なことがあったとしても、それをふっきることができるくらい面白い映画でした。周囲を気にすることなく大声で笑うことができました。なぜなら周囲も大声で笑っているのですから。こうなってくると後は映画の流れにのって存分に楽しむだけなのですが、その内もうひとつのインド映画の特徴に気付きました。

なかなか終わらない!

こんなしぶとい映画も初めてでした。これで一件落着・・・だと思ったら、まだストーリーが続いていくのです。でも決して退屈ではありませんでした。むしろ「やった!まだ終わりじゃない!」という喜びが沸き起こりました。そして本当にエンディングを迎えてしまったときには「あ〜あ、もう終わっちゃった。もっと見たかったなぁ」と嬉しい悲鳴のような感動が心底沸き起こるのも感じました。これぞ映画だと思いました。なんか長々と『ムトゥ 踊るマハラジャ』について解説してしまいましたが、とにかくインドに、そしてタミル地方に興味を向かせてくれた大きなきっかけは、あの映画をおいて他にないと思います。

 というわけで、もともとインドにある程度関心のあった僕は、『ムトゥ 踊るマハラジャ』のおかげでインドに魂を売ることを決意しました。同じような決意をした日本人は多分100人くらいはいるでしょう。僕は勢いに乗って大学でヒンディー語、タミル語、サンスクリット語などインドの諸言語の一部を勉強することになりました。言語を学ぶことは文化を学ぶことです。言語を学ぶと同時に言語の背景にあるインド人の培ってきた文化についても次第に知るようになりました。そして気付いたら取り返しがつかないくらいインドにのめり込んでしまったようです。一般的な人と比べると、インドに関する知識だけはやたら蓄積されており、改めて考えてみると「どうしてこんなこと知ってるんだろう」と自分でも不思議になるくらいでした。

 当然のことながら、インド旅行は既に経験しました。インドまでの道のりは遠かった・・・。なんかいきなりインドに行ってしまうと、それでいきなり最終目的地に辿り着いてしまうようなもったいないような感覚があったので、まずはタイでアジアに身体を慣らし、今度はエジプトに行って中東への理解を深め、やっとその次にインド旅行を果たしました。インドを旅行してからは、はっきり言ってインド世界からあまり逸脱した地域に旅行をしていません。中国には行きましたが、後はカンボジア、2度目のタイ、とインドの影響を受けた国を訪れ、その後再びインドへ、今度はガラリと方向転換と思いきや、フィジーのインド人社会に入り込んだり(フィジーの人口の約半分はインド人)、また戻ってパキスタンに行ったり・・・とインドをキーワードに旅行をしているとしか思えない状態になってしまってます。

 ところで、こんなサイトを作っていると、インド神話についてやたらと詳しい人のように思われるかもしれませんが、それは結果としてそうなってしまったのであって、最初はパールヴァティーとラクシュミーを見分けられないくらいの知識しかありませんでした。少なくとも2回目のインド旅行をしているときまでは・・・。やはりホームページを作る過程でいろいろ知識を吸収していったのだと思います。とはいっても、まだまだ知識も経験も、先人には到底及びません。特にサンスクリット語があんまり得意ではないので、それでもう僕のインド神話の知識は閉ざされてしまうような気がしてなりません。でも、行き着くところまで行ってみたいという気持ちが今は非常に強いのです。将来どうなるか分かりませんが・・・。
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