『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』 |
現在急ピッチでヴィシュヌの街を作っているのですが、少し苦戦していました。その理由は他でもない、インドの2大叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』のせいです。この2つの叙事詩はやはりどちらかというとヴィシュヌに関連した事柄だと思うので、ヴィシュヌの街に盛り込むことにしたのは当然の成り行きだとは思いますが、やっぱり『マハーバーラタ』も『ラーマーヤナ』も一筋縄じゃいかなくて、非常に歯がゆい思いをしています。
とりあえず、『ラーマーヤナ』の説明はマンガっぽい形式で進めていくことにしました。ヴィシュヌの街のラーマの城の中のどこかにある「ラーマーヤナ体験マシーン」がそれです。割と工夫して作ってるのですが、これがけっこう大変で、いくつか分岐点まで設けてしまったものだから、なんかこれだけで一サイト作れるくらいの勢いになってます。ちょっと大げさですが。参考資料は主に岩本裕先生が翻訳した『ラーマーヤナ』の1巻と2巻(東洋文庫/平凡社)です。でも、この岩本先生は志半ばでお亡くなりになってしまったらしく、未完なのです。ラーマーヤナは全7巻ありますが、翻訳されたのは2巻のみ。もうこれ以上増える見込みはないようです。非常に緻密な訳で、想像力を膨らますのに役立つのですが・・・途中で終わってしまっているのが何とも残念です。というわけで、「ラーマーヤナ体験マシーン」の方も2巻分しかできてません。とりあえずそこでストップさせておきました。
『マハーバーラタ』の方は、マンガ形式にするにはあまりに登場人物が多すぎるので、普通にテキストで説明していくことにしました。そして本日やっと一応の完成を見たのです。いや〜、疲れた。けっこう省略するところは省略してしまったので、また後から付け足すかもしれませんが。こちらの主な参考資料は奈良毅先生訳の『マハーバーラタ(上)(中)(下)』(レグルス文庫/第三文明社)。中学生くらいを対象にしているような感じで、ちょっと訳が物足りないところもありますが、世界最長の叙事詩を簡潔に日本語でまとめたものはこれくらいしかないので、役立てるしかありません。でも、『マハーバーラタ』の根底を流れる人間模様の複雑さはひしひしと伝わってきて、こんな素晴らしい文学作品が何千年も前にできていたことに改めて驚きを隠せませんでした。単純な勧善懲悪モノではなく、善玉も卑怯なことをし、悪玉も正々堂々と生き、これぞ偽りのない世界そのもののように感じました。でも、『マハーバーラタ』を読んでいたら、案外クリシュナって卑怯な奴だなぁと、ちょっと失望もしてしまいました。インド人はこんなクリシュナでもいいんでしょうか?
それにしても、やはりこうなってくると、『マハーバーラタ』も『ラーマーヤナ』も、サンスクリット語で原典を読んでみたい衝動が沸き起こってきます。サンスクリット語の知識はカス程度くらいしかありませんが、この二大叙事詩を読むためだったら、もっと真剣に勉強してもいいなぁという気分にさせられます。特に岩本先生が翻訳を果たせなかった、『ラーマーヤナ』の3巻以降や、『マハーバーラタ』のビーシュマ編に収められている「バガヴァッド・ギーター」などを読んでみたいです。