ドゥルガーとの戦いだなんて、おや、変だなって思うでしょ?そう、私の名はドゥルガー。でも、この名前は生まれつき付いていたものではないの。これから話す、悪魔ドゥルガーとの戦いの後に付いた名前なのよ。だから、この話に出てくるドゥルガーってのは、みんな悪魔のことよ。気をつけてね。
昔、ドゥルガーという女の悪魔がいたの。ドゥルガーは一千本の腕を持っていて、それぞれの手に武器を持っていて、圧倒的な力でもって全世界を征服し、インドラとその他の神々を天界から追い出してしまった。世界の女王となったドゥルガーはあらゆる宗教儀式を禁止し、神々には森の中で隠棲生活をするように強制し、その妻たちにはドゥルガー自身を崇拝するように強制したの。そのおかげで河は流れを変え、火は力を失い、空から星が消えてしまった。ドゥルガーは意のままに自然を操り始め、ドゥルガーの気の向いた時にしか雨が降らなくなったり、穀物が実らなくなったりして、世界は大変なことになったのよ。
そこで神々はシヴァに助けを求めたの。でも、シヴァは苦行の最中だったか、勝つ自信がなかったか分かんないけど、私の方に話を振ってきたワケ。私も面倒だったから、代わりにカーララートリーっていう女神を創り出してドゥルガーと闘ってもらったの。彼女は闇夜の女神。悪魔を闇の中に包んで攻撃したんだけど、返り討ちされてしまったの。
こうなっちゃ仕方がないから、私が出て行かざるをえなくなったのよねぇ。ま、カーララートリーに勝ったくらいだから、雑魚ではないと思ったしね。ドゥルガーのところに向かってみると、ドゥルガーは一億台の戦車と一千二百億頭の象と、一千万頭の馬と、無数の悪魔兵を準備して私に迎え撃ってきたの。私の方も自分で援軍を創り出して、それに対抗させた。激しい戦いだったわ。ドゥルガー軍は私に矢と木と岩を嵐のように放り込んできて、私の方もムカッと来たもんだから、ドゥルガーと同じように一千本の腕を生やして、悪魔の軍勢に無数の武器を投げつけたの。それだけでドゥルガー軍の大半は死んじゃったわ。
多くの軍勢を殺されて怒ったドゥルガーは、今度は二本の燃える槍を投げてきたの。でも私はかる〜くかわしたわ。ドゥルガーは続けて矢や棒や大釘を投げつけてきたけど、それも私には余裕って感じだったわ。今度は逆に私がドゥルガーを捕えて、頭の上に足をのせて踏み潰してやろうとしたんだけど、ドゥルガーも必至でもがいて逃れて、一旦退却していったわ。でも、すぐに反撃して来たから、私もさらに九百万の軍勢を創り出して、それによって悪魔の軍勢を全滅させたの。
それでもまだ懲りないドゥルガーは、霰(あられ)の混じった嵐でもって攻撃してきたけど、私は防御を固めてやり過ごしたの。今度は山を投げつけてきたけど、私はそれを7つに切断して矢を打ち込んで、粉々に粉砕した。さらにドゥルガーは山のような象に化けて攻撃してきたけど、私の爪で切り裂いてやったわ。それでもまだまだ向かってくるのね、ドゥルガーは。今度は水牛に化けて木と石と山を同時に投げつけながら突進してきたの。私は三叉戟で水牛のドゥルガーを突き刺して、元の姿に戻るように命令したの。いくら悪魔とはいえ、動物の姿をしてるとどうも殺しにくかったからね。そして、最後に元に戻ったドゥルガーの胸を一本の矢で貫いたの。気持ちよかったわ。ドゥルガーは口から血を流して死んでしまったわ。
この戦いの後、私はドゥルガーという名前を名乗るようになったの。なぜかって?だって、ドゥルガーほど強い悪魔をやっつけた私こそ、みんなにとってドゥルガーでしょ。ドゥルガーってのは「近付き難い女」って意味なのよ。 |