昔、シュンバとニシュンバっていう兄弟悪魔がいたわけよ。で、こいつらが強大な力を持っていてな、神々の世界まで支配しちまったことがあったらしいんだ。それを退治しに行ったのが、この街の北東の方に住んでるドゥルガー様なんだな。ドゥルガー様も恐ろしい女神様だから注意した方がいいぜ。パールヴァティー様は優しいんだがなぁ。
で、シュンバとニシュンバは、ドゥルガー様と戦わせるためにチャンダとムンダという手下の悪魔を差し向けたんだ。するとドゥルガー様は怒りの声を上げて顔を真っ黒にして、その顔からなんとカーリー様が生まれてきたんだ。要するにカーリー様はドゥルガー様の怒りから生まれてきたってわけだな。おっかねぇ〜な。カーリー様は剣と縄を持ち、頭蓋骨の首輪をかけて口を大きく開き、目を血走らせてチャンダとムンダに襲い掛かったんだ。いったいどっちが悪魔だかよく分かんねぇけどな。カーリー様は圧倒的な力でチャンダとムンダの首を切り取ってドゥルガー様に差し出したんだ。
するとシュンバとニシュンバは次にラクタビージャという悪魔を差し向けて来たんだ。ラクタビージャは血が大地に落ちると、その血から何匹ものラクタビージャが生まれてくるという力を持っていたのさ。ドゥルガー様がラクタビージャを斬りつけるたびにラクタビージャの血が大地に落ち、新たなラクタビージャが次々と生まれて来たんだ。やがて戦場がラクタビージャで埋まっちまったっていうから気持ち悪いよな。こういうわけで、ドゥルガー様はピンチを迎えたわけよ。
そこでカーリー様の出番が再びやって来たのさ。カーリー様は大きな口を開けて、血から生まれたラクタビージャたちをどんどん食べ始めたんだ。こうすれば血が大地に落ちなくてすむだろ?全てのラクタビージャを食べ尽くし、血も全て飲み干しちまったもんだから、こうしてラクタビージャは絶命しちまったってわけさ。その間にドゥルガー様もシュンバとニシュンバと戦って見事ぶっ殺したわけよ。
でも話はまだ終わっちゃいないぜ。大勢の悪魔を食べてその血に酔ったカーリー様は、勝利のダンスを踊り始めたんだ。そのダンスがあまりに強く大地を踏み鳴らしたもんだから、世界は振動して壊れる寸前になっちまったんだ。神々は困っちまってシヴァ様に助けを求めた。シヴァ様はカーリー様に声を掛けたけど、血に酔ったカーリー様は全く耳を貸そうとしなかったんだ。そこでシヴァ様は止むを得ずカーリー様の足の下に横たわって衝撃を吸収することにしたのさ。それが上の絵さ。カーリー様もシヴァ様を踏んずけていることに気がついて、ようやく踊るのをやめたって話さ。カーリー様がとんでもねぇ女神様だってこと、よ〜く分かったろ? |