私は先ほども申し上げた通り、ヴィダルバ国の王ビーシュマカの娘として生まれました。私には他にも5人の兄弟がおりまして、特に長兄のルクミンは殊に私を可愛がってくれました。
私はクリシュナの美貌と力と人徳の噂を前から聞いておりましたので、私の夫になってもらいたいとかねてから切望しておりました。父王は私とクリシュナの結婚を承諾して下さったのですが、兄のルクミンはクリシュナを嫌っておりまして、私をチェーディ国王シシュパーラと勝手に婚約させてしまったのです。
それを知った私は大変な悲しみに襲われまして、ある信頼できるバラモンを呼んで、クリシュナに「どうか私を救い出して妻にして下さい。」と書いた手紙を届けてもらうことにしたのです。
バラモンは急いでクリシュナのもとへと向かったのですが、クリシュナの住むドヴァーラカー城へ辿り着いたのは、私の結婚式の始まる1日前だったのです。しかしクリシュナは、私の手紙を読むと、ドヴァーラカーからヴィダルバまでたった一夜で駆けつけてくれまして、私を連れ去ってくれたのです。
もちろん、ルクミンは私を連れ戻すために軍勢を率いて追いかけて来ました。しかしクリシュナはその大軍を簡単に蹴散らし、ルクミンの武器をことごとく破壊して、射殺そうとしました。でも、私が兄の助命をお願いしたので、クリシュナもルクミンを許して、髪とヒゲを剃るだけにしておいてくれたのです。
こうして、私とクリシュナは晴れて結婚することができたのですよ。兄にはちょっと悪かったですけどね・・・。 |