▲ | ◆ジャラーサンダの殺害◆ |
マガダ国国王ブリハドラタは子供に恵まれなかったので、聖者カウシカに相談したところ、カウシカは「これを食べれば願いはかなえられよう」と言ってひとつのマンゴーを差し出した。ブリハドラタ王はそのマンゴーを半分に分け、双子の妻たちに食べさせた。するとたちまち妻たちは身篭り、出産したが、その2人の赤子はどちらも、1つの眼、1つの耳、1つの腕、1つの脚しかなく、ちょうどひとつの身体を半分ずつに分けたかのような不完全な赤子だった。ブリハドラタ王はその奇妙な赤子を捨てさせた。 その半分ずつの赤子を拾ったのが食人鬼ジャラーであった。ジャラーがその2人の赤子を食べようと持ち上げると、偶然にも半分ずつの身体がぴったりと合わさって、一人の完全な赤子となった。ジャラーはその赤子を食べずにブリハドラタ王に献上した。こうして、その赤子はジャラーサンダ(ジャラーが結合したもの)と呼ばれるようになった。 ジャラーサンダは成長して王位につくと、86人の領主を牢獄に閉じ込め、暴虐の限りを尽くした。そしてマトゥラーの領主クリシュナと18回に渡って戦いを繰り広げ、ついにクリシュナを追い払ってしまった。 クリシュナは、パーンダヴァの5王子の長男ユディシュティラが皇帝に即位しようとしていることを知ると、皇帝の座につくにはジャラーサンダを滅ぼさなければならないことを告げた。そして、ジャラーサンダを殺害するには一騎打ちの決闘しかないと判断し、5王子の中のアルジュナとビーマを連れて、バラモンの姿に身を変え、ジャラーサンダの治めるマガタ国の首都ギリヴラジャへ赴いた。 ジャラーサンダはクリシュナたちを客人として厚くもてなしたが、アルジュナとビーマは何を聞かれても沈黙を守ったままだった。クリシュナは「この2人は沈黙の誓いを守っているので、真夜中でなければ口を聞くことができない」と言って、ジャラーサンダを真夜中に誘い出した。ジャラーサンダが3人の部屋に入ったとき、クリシュナたちは正体を明かし、3人の内1人と一騎打ちすることを要求した。ジャラーサンダはビーマと決闘した。 戦いは2週間の長期戦となったが、ついにビーマがジャラーサンダを真っ二つに裂いてしまった。ところが、ジャラーサンダの半身はすぐにくっついてしまい、再び立ち上がってビーマに襲い掛かってきた。そこでビーマはまたジャラーサンダの身体を引き裂くと、それらを全く別の方向へ放り投げ、二度と合体しないようにした。こうしてジャラーサンダは死んだ。 |
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