◆バガヴァッド・ギーター◆
 クルクシェートラの会戦を前にクリシュナがアルジュナに語った一連の詩句は、ヒンドゥー教徒の最高の聖典とされ、今日でもインド人の心の大きな支えとなっている。内容は以下の通りである。

 人間の本体すなわち個我は永遠に不滅であり、肉体のみが消滅するのだから、殺すとか殺されるということに煩わされることはない。人間の行動は全て神の幻によって動かされているのだから、各人は自分の本務を無心に行う必要がある。自らの欲望や事の成否、報酬の有無などにとらわれず、結果を神に委ねて与えられた仕事を成し遂げることこそが、解脱への道なのである。