◆夜間襲撃◆
 クルクシェートラの戦いの第18日目の夜、アシュヴァッターマンは、生き残った二人の戦士クリパとクリタヴァルマンと共に、戦場から少し離れた樹の下で休息していた。しかし父ドローナを殺され、ドゥリヨーダナまで瀕死の状態となり、アシュヴァッターマンは復讐の念に燃えて眠るどころではなかった。

 その夜中、アシュヴァッターマンたちが休んでいた樹の上に留まっていた鳥たちに、突然一羽のフクロウが襲い掛かってきて、眠っている鳥たちを皆殺しにしてしまった。これを見てアシュヴァッターマンは夜眠っている敵を襲って皆殺しにする計画を思いついた。クリパとクリタヴァルマンは「眠っていて無抵抗な敵を襲うのはよくない」と言って止めたが、アシュヴァッターマンは「たとえどんな方法を用いても復讐は果たす」と言って一人で敵陣へ向かっていった。クリパとクリタヴァルマンも仕方なくアシュヴァッターマンに付き従い、敵陣の門を見張ることにした。

 アシュヴァッターマンは眠っていたドリシュタデュムナを叩き起こし、首を締めて殺した。そしてドウラパディーの息子たちを次々と殺し、敵陣に火を放った。眠っていたパーンドゥ軍の兵士たちは目を覚まして右往左往し、ほぼ全軍壊滅した。

 アシュヴァッターマンはすぐさま瀕死のドゥリヨーダナのもとへ駆けつけ、戦果を報告した。ドゥリヨーダナはその知らせに喜び、満足して息を引き取った。