私の前世はインドラデュムナという人間の王様だったんだぞぉ、そしてヴィシュヌ様を厚く厚く敬っていたんだぞぉ。私は王位を息子にゆずって、森で隠棲生活をしていたんだぞぉ、庵の中で瞑想をしていたんだぞぉ、ヴィシュヌ様への祈りに没頭していたんだぞぉ。私がちょうど沈黙の行をしていたところに、アガスティヤという聖仙が訪ねてきたんだぞぉ。私はアガスティヤ仙がやって来たことに気がつかず、聖仙をもてなすことをしなかったんだぞぉ。アガスティヤ仙は怒って、私に呪いをかけたんだぞぉ。
「私がやって来てもお前は何のもてなしの言葉もしゃべろうとしない。お前のように礼儀を知らぬ奴は象になってしまえ」
こうして私は象王ガジェーンドラとなってしまったんだぞぉ。でも、象になっても王様だったからよかったんだぞぉ。
ある日私は湖で水浴びをしていたんだぞぉ。そしたら1匹のワニが私に噛み付いてきたんだぞぉ。そのワニも前世はガンダルヴァ(精霊)だったから、かなり強かったんだぞぉ。私とワニは1000年の間戦ったんだぞぉ。でも、なかなかそのワニは離れようとしなかったんだぞぉ。私はだんだん弱ってきたんだぞぉ。もう駄目だ、と思った瞬間、ヴィシュヌ様のことを念じて「どうか助けてください!」って祈ったんだぞぉ。ちょうど湖の上に蓮の花が浮かんでいたから、それを鼻でつまみあげて、ヴィシュヌ様に捧げたんだぞぉ。
そしたらなんと、ヴィシュヌ様がガルーダに乗って現れて、ワニの首をチャクラ(円盤状の武器)で切り落としてくれたんだぞぉ。こうして私はヴィシュヌ様のおかげで命拾いしたんだぞぉ。そのワニもヴィシュヌ様のおかげで呪いが解けて、天国に昇っていったんだぞぉ。 |