ブリハスパティにはターラーという妻がいてな、あいつにはもったいないくらいの美人だった。私は自分のものにしてやろうと、隙を見てターラーを誘拐したのだ。何、神様がそんなことしていいのかって？ふっふっふ、神様だから許されるのだよ。
当然、ブリハスパティはターラーが私に誘拐されたことに気付いたが、私とタイマンで戦っては勝ち目がないものだから、ブラフマー様に相談をしたのだ。ブラフマー様は私に「ターラーを返すように」と言って来たが、私は承知しなかった。そこで私とブリハスパティの間で戦争が起こったのだ。ブリハスパティにはインドラやその他の神が味方についたが、私の方には魔神たちが味方についてくれた。戦いは激戦となり、両軍多くの怪我人が出たが、いっこうに終わる気配がなかった。ターラーは自分のために争いが起こっていることに心を痛め、ブラフマー様に調停を頼んだ。ブラフマー様は私に再三「ターラーを返すように」と説得をして来たから、私もついに折れてターラーをブリハスパティに返してやったのだ。
ところが、ターラーは私の元へいる間に妊娠していたから、さらに問題が起こった。ターラーは美しい男児を生んだのだが、ブリハスパティの奴が、「これはオレの子だ」と主張し始めたのだ。もちろん私も「私が父親だ」と主張した。ブラフマー様は再び我々の間に割って入り、問題の解決をターラーに委ねたのだ。つまり、ターラーに直接誰の子であるか質問することになったのだ。
ところがターラーは恥かしがって何も答えなかった。すると、生まれたばかりのその子が、「お母さん、本当のことを言ってよ」と促したので、遂にターラーは重い口を開き、生まれた子は私の子であることを皆に伝えたのだ。この子が水星ブダなのだよ。 |
