オリッサ州のとある田舎の村。マグニは牛車タクシーのドライバーだった。毎日村と駅を行き来して、村人たちの足となっていた。マグニは誰からも愛される朗らかな性格で、カサラとカリアという2頭の牛を何よりも大事にしていた。
両親の決定に従い、マグニはクスムという美しい女性と結婚する。マグニは牛と同様、クスムに対しても限りない愛情を注いでいた。2人は仲睦まじい新婚生活を送っていた。
ところがある日、マグニの村にバスが運行し始める。もはやマグニの牛車に乗る者はいなくなった。今までマグニの牛車を愛用していた人々も、バスにしか乗らなくなってしまった。不幸は続く。同居していた父親と母親が相次いで亡くなり、遂にクスムも死んでしまう。
生活に困ったマグニは遂にカサラとカリアも売り払わざるを得なくなる。マグニの家にはただ牛のいない牛車だけが残った。失意の内にやがてマグニも死んでしまう。マグニの遺体を乗せた牛車は、最後の道をゆっくり進むのだった。 |