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デリー・ウォーカー目的別索引

 「〜したいけどどこへ行けばいいのか?」「〜を食べたいけどどこがおいしい?」そんな問いにスピーディーにお答えする目的別索引。御託は抜きにして、デリーのオススメの場所をストレートにご紹介。


|| グルメ編 ||

 ここで紹介するレストラン・食堂の多くは、値段や店の雰囲気に流されて味を判断している人には向きません。舌のみで味を判断できる人のための情報になります。グルメ編として紹介するのは比較的安価なインド料理のみです。インドでは、インド料理以外の馬鹿高くてまずまずの(またはまずい)料理を食べるよりも、安くておいしいインド料理を食べた方が圧倒的にお得です。インド料理はもう飽きた?以下に挙げる様々なバラエティーのインド料理を試した結果の言葉でしょうか?また、インド料理は高ければ高いほどおいしいというわけでもありません。高ければそれなりに高価な食材を使っていることもありますが、高い料理が必ずおいしいとは限りません。高級レストランでは、味よりも店の雰囲気に金をかけているところが多くあります。インドでグルメを楽しむときに大切なのは、繰り返しますが、舌のみで味を判断することです。

■ムガル料理が食べたい!

 一般に日本で「インド料理」と呼ばれている料理は、インドでは北インド料理、ムガル(ムグラーイー/ムグライー)料理、フロンティア料理、パンジャーブ料理などと細分化されているが、その微妙な違いは実のところよく分からない。デリーのレストランは、印パ分離独立時に西パンジャーブ地方やアフガーニスターンと接する辺境地域から逃げて来たヒンドゥー教徒やスィク教徒が開いたレストランが多いために、フロンティア料理やパンジャーブ料理と呼ばれるのだろう。一方、印パ分離独立前からオールドデリーなどを中心にイスラーム教徒によって営業されているノン・ヴェジのレストランもいくつかあり、それらを特に指してムガル料理と言うのかもしれない。しかしながら、これらの料理はお互いに影響し合って現在の形になっている。他に、デリーには元々、ヒンドゥー教徒やその他の菜食主義者のための老舗レストランもあったが、それらは通常「ムガル料理」とは言わない。一方、ラクナウーやハイダラーバードの料理もデリーに入って来ており、それらは広い意味ではムガル料理に含めても差し支えなさそうで、「ムガル料理」は「イスラーム料理」という意味合いを持っていそうだ。そして、それらを大きな枠でくくった場合、やはり「北インド料理」という名称がもっとも適していそうだ。ここでは、それらが大体同じものだとして、「北インド料理」と総称し、特にイスラーム文化の影響が強いものを「ムガル料理」としておく。

 安くておいしいムガル料理と言ったら、ヴァサント・プレイス(Vasant Place Market)のアルカウサル(Alkauser)以外にはない。細かい分類ではラクナウー料理になる。名物カーコーリー・カバーブ(Kakori Kabaab)、伝説のアフガーニー・チキン(Afgani Chicken)、本格的ビリヤーニー(Biryani)の3点セットを食べればムガル料理の真髄を極めたことになる。一般にムガル料理として有名なタンドゥーリー・チキンやバター・チキンは、実はムガル料理の中で必ずしも最高の料理ではないのである。だが、ここは露天に机と椅子を並べただけの簡易食堂であり、酒類もない。究極のムガル料理を求める者のみ、行ってもらいたい。カーコーリー・カバーブだけだったら、ニザームッディーン(Nizamuddin)やIITゲート(IIT Gate)エリアのアープ・キ・カーティル(Aap Ki Khatir)、アフガーニー・チキンだけだったらカールカージー(Kalkaji)のキドマト(Khidmat)もオススメ。ラクナウーの有名店トゥンデー・カバービー(Tunday Kababi)の支店がダリヤー・ガンジ(Dariya Ganj)などにあり、ここもうまい。

 ただ、これらはイスラーム文化と関係の強い料理で、酒を出さないところも多い。ムガル料理を食べながらどうしても酒も一緒に飲みたい、という人は、ハウズ・カース(Hauz Khas)のオーロビンド・プレイス(Aurobindo Place)にあるカビラ・レストラン(Kabila Restaurant)がオススメ。ムルグ・バーダーミー・ティッカー(Murg Badami Tikka)がうまい。夜は生演奏もあり。前述のアープ・キ・カーティルも酒類がある。

 老舗で有名なのはカリーム(Karim's)。デリー・イスラーム料理の代表。支店はデリー中にあるが、本店はオールドデリー(Old Delhi)のジャーマー・マスジド(Jama Masjid)エリアにある。ただ、雰囲気は食堂っぽい。ニザームッディーン(Nizamuddin)支店の方がちゃんとしたレストランの内装で、静かに食べられる。カリームは味にブレがあるし、支店によっては並以下のこともあるので、なるべくなら本店かニザームッディーン支店に行くことをオススメする。やはりここも酒類はなし。

 ハイダラーバード料理であれば、ハウズ・カース(Hauz Khas)エリアのハウズ・カース・ヴィレッジ(Hauz Khas Village)にあるザ・ゴールコンダ・ボウル(The Golconda Bowl)が絶品。ハイダラーバードから取り寄せた珍しいスパイスを使って本格的なハイダラーバード料理を提供している。

■南インド料理が食べたい!

 南インド料理が食べたかったら南インドへ行くのが一番だが、デリーで最高の南インド料理を食べたかったら、コンノート・プレイス(Connaught Place)のホテル・サラヴァナ・バヴァン(Hotel Saravana Bhavan)へ行くべし。タミル・ナードゥ州のヴェジタリアン料理のみだが、野菜とスパイスが織り成すリッチなテイストに驚愕すること間違いなし。コンノート・プレイスにはサラヴァナ・バヴァンが2店舗ある。ただし、南インド料理レストランはアルコールを出さないところが多く、ここも酒類はない。

 ノンヴェジの南インド料理が食べたかったら、インド門(India Gate)の北にあるアーンドラ・プラデーシュ・バヴァン(Andhra Pradesh Bhavan)の食堂がオススメ。お代わり無制限の本格的なアーンドラ料理が食べられる。ここも酒類はなし。

 もし酒と一緒にノンヴェジの南インド料理が食べたかったら、ディフェンス・コロニー(Defence Colony)のスワーガト(Swagath)がよい。北インド料理を含めたインド料理全般を出すが、マンガロールやチェッティナードゥなど、南インドのグルメ地域の郷土料理が食べられるのが特徴。ヴァサント・クンジ(Vasant Kunj)のアンビエンス・モール(Ambience Mall)内にあるザンバル(Zambar)もケーララ料理を中心とした南インド料理専門店でレベルが高く、酒類もある。

 ハウズ・カース(Hauz Khas)エリアのハウズ・カース・ヴィレッジ(Hauz Khas Village)の裏、中世の貯水湖ハウズ・カースを見下ろす高所でひっそりと営業している南インド料理レストラン、ガンパウダー(Gunpowder)はデリーっ子の隠れ家。ケーララ料理を中心に絶品の南インド料理(肉・魚含む)が食べられるが、個人経営かつおそらく違法営業(遺跡近くでの商業活動は違法)であるため、いつまで存続するか不明である。2010年1月に営業確認。

■シーフード料理が食べたい!

 デリーは内陸部にあり、新鮮な魚介類が手に入らないため、シーフード料理は弱い。だが、それでもいくつかの店でおいしいシーフード料理を食べられる。インドでシーフード料理のメッカはいくつもあるが、とりあえず有名なのはベンガル料理。ベンガル人はヴェジタリアンでも魚を食べる。ベンガル料理が食べたかったらコールカーター(旧名カルカッタ)へ行くのが一番だが、デリーで最高のベンガル料理は、ネルー・プレイス(Nehru Place)にあるオー!カルカッタ(Oh! Calcutta)である。多少値段は張るが、シーフードの極地を体験することができる。酒類あり。

 ベンガル地方の隣にあるアッサム州も実はシーフード王国。アッサム料理はベンガル料理に勝るとも劣らない。デリーで本格的アッサム料理を食べるなら、チャーナキャプリー(Chanakyapuri)にある州庁舎アッサム・バヴァン(Assam Bhavan)内のダイニング・ホール、ジャコイ(Jakoi)がオススメ。ただし酒類なし。

 前述のノンヴェジ南インド料理レストランでもシーフードを食べられる。

■グジャラーティー・ターリーが食べたい!

 一部でマニアックな人気を誇るグジャラーティー・ターリー。西インドのグジャラート地方の特産料理である。お代わり自由、というか、大皿にボーイが次から次へと食べ物を強引によそって来て、腹十二分目になるまでストップしてくれない。その甘くて辛い不思議な味は、はまる人ははまる。デリーでグジャラーティー・ターリーを食べようと思ったら、カロール・バーグ(Karol Bagh)のスルチ(Suruchi)や、シャーリーマール・バーグ(Shalimar Bagh)のラージダーニー(Rajdhani)がオススメだ。

■オリッサ料理が食べたい!

 オリッサ州は東インドのベンガル湾に面した州。ハウズ・カース(Hauz Khas)エリアのハウズ・カース・ヴィレッジ(Hauz Khas Village)入り口にあるジャガンナート寺院(Jagannath Temple)では、プラサード(供え物のお下がり)の形で極上のオリッサ料理を食べることができる。

■カシュミール料理が食べたい!

 インド最北部のカシュミール地方はグルメでも有名。INAエリアにあるディッリー・ハート(Dilli Haat)では各州の料理が食べられるが、もっとも真面目に郷土料理を提供しているのは、ジャンムー&カシュミール州観光局経営のワーズワーン(Wazwan)である。リーズナブルな値段で、リッチなカシュミール料理を味わうことができる。

■ノースイースト料理が食べたい!

 ノースイーストとはインド東北部の地域。7つの州が集まっているために「セブン・シスターズ」とも呼ばれる。その内のひとつアッサム料理についてはシーフードの項で触れた。その他の州の料理を出すレストランもデリーにはちらほら存在する。グリーン・パーク(Green Park)のナガランド・キッチン(Nagaland Kitchen)やハウズ・カース(Hauz Khas)エリアのハウズ・カース・ヴィレッジ(Hauz Khas Village)にあるズク(Dzukou)などはナガランド州の料理を出す。

■パーキスターン料理が食べたい!

 インドにいながらパーキスターンの料理が楽しめる場所がある。それはサリター・ヴィハール(Sarita Vihar)のファイサルズ・カバーブ・ラウンジ(Faisal's Kebab Lounge)である。ノイダにも支店あり。

■チベット料理が食べたい!

 デリーはチベット難民の拠点のひとつ。北デリーのマジュヌー・カ・ティーラー(Majnu Ka Tilla)にはチベット難民キャンプがあり、インドの風土で進化したチベット料理が食べられる。レストランとしては、ラージパト・ナガル(Lajpat Nagar)のオールド・ダブル・ストア(Old Double Store)にあるチベット・キッチン(Tibet Kitchen)がよい。だが、敢えて穴場として紹介したいのは、チャーナキャプリー(Chanakyapuri)の州庁舎スィッキム・ハウス(Sikkim House)のレストラン。チキン・スティームド・モモ(Chicken Steamed Momo)やトゥクパ(Tukpa)が絶品。

■ミターイーが食べたい!

 ミターイーとはインドの甘いお菓子のこと。インドでは慶事にミターイーを贈り合う習慣があり、ミターイー屋はどこも繁盛している。デリーにはそれこそ何百何千ものミターイー屋があるが、もし伝統の重みを感じたいなら、チャーンドニー・チャウク(Chandni Chowk)のガンテーワーラー(Ghantewala)がオススメ。創業1790年、ムガル朝皇帝ご用達の老舗銘菓店である。デリー土産にも最適。

|| ショッピング編 ||

■本が欲しい!

 インドでは英語書籍と現地語書籍の流通はほとんど分断状態にある。街中にある通常の本屋で現地語の書籍を見かけることはほとんどない。

 英語書籍が欲しい場合は、コンノート・プレイス(Connaught Place)にいくつもいい本屋がたくさんある。英語の学術書になると、ダリヤー・ガンジ(Darya Ganj)のマノーハル(Manohar)がもっとも頼りになる。ダリヤー・ガンジには他にも多くの出版社オフィスがある。住所さえ分かれば、出版社を直接訪ねて買い求める方法もありだ。また、毎週日曜日にはダリヤー・ガンジのメインロード、ネータージー・スバーシュ・マールグ(Netaji Subhash Marg)で古本市が開かれている。

 ヒンディー語書籍は、同じくダリヤー・ガンジにあるヒンディー・ブック・センター(Hindi Book Centre)で買い求めるか、出版社に直接行くのがいい。

 ウルドゥー語書籍は前述のヒンディー・ブック・センターでも手に入るが、ジャーマー・マスジド(Jama Masjid)の南側にあるウルドゥー・バーザール(Urdu Bazar)に並ぶ本屋か、ハウズ・カーズィー(Hauz Qazi)にあるエジュケーショナル出版(Educational Publishing House)でかなり揃う。もちろん、直接出版社に行くのもいい。本文中では取り上げていないが、ITO近くにあるアンジュマン・タラッキーエ・ウルドゥー・ヒンド(Anjuman Taraqqi-e-Urdu Hind)別名ウルドゥー・ガル(Urdu Ghar)もウルドゥー語書籍が目的なら一度は足を運ぶべき。

 ベンガリー語書籍はグレーター・カイラーシュ・パート2(Greater Kailash Part 2)エリアのチッタランジャン・パーク(Chittaranjan Park)のマーケットで少しだけ手に入る。

■CD/VCD/DVDが欲しい!

 デリー最大の音楽ショップは、アンサル・プラザ(Ansal Plaza)のミュージック・ワールド(Music World)であろう。だが、ミュージック・ワールドやプラネットMは大手チェーンであり、品揃えは最新のものが中心である。もしマニアックなものを買い求めようとしたら、小規模経営の店の方が手に入るチャンスが大きい。サーケート(Saket)のミュージック・ランド(Music Land)や、グリーン・パーク(Green Park)のマーケットに並ぶ店がオススメである。古い映画のVCDが欲しいなら、チャーンドニー・チャウク(Chandni Chowk)のラージパト・ラーイ・マーケット(Lajpat Rai Market)も覗いて見るといいだろう。

 また、グレーター・カイラーシュ・パート2(Greater Kailash Part 2)エリアのチッタランジャン・パーク(Chittaranjan Park)のマーケットでは、ベンガリー語映画のCD/VCD/DVDが手に入るので要チェック。ムニールカー(Munirka)ではタミル語映画のVCD/DVDも手に入る。

■お香が欲しい!

 お香はインド土産の定番のひとつ。デリーでもっとも高品質かつバラエティーに富んだお香が揃っているのは、アドチニー(Adhchini)にあるサブダ(Sabda)である。

■コーヒー豆が欲しい!

 インドと言えば紅茶だが、実はインドはコーヒーもうまい。デリーでコーヒー豆を買いたかったら、ローディー・コロニー(Lodi Colony)のデーヴァンス(Devan's)がオススメ。

■PC関連用品が欲しい!

 パソコン関連用品は、「デリーの秋葉原」の異名を持つネルー・プレイス(Nehru Place)へ。PC、PC部品、PC周辺機器、インク・カートリッジ、ソフトウェアなど、正規品・中古品・海賊版をひっくるめて、何でも揃う。

■インドっぽい衣服が欲しい!

 コットンのクルター・パージャーマーやサルワール・カミーズが欲しかったら、デリー中に支店を持つファブ・インディア(Fab India)が定番である。グレーター・カイラーシュ・パート1(Greater Kailash Part 1)のNブロック・マーケット(N Block Market)に本店があり、もっとも品揃えがいいが、コンノート・プレイス(Connaught Place)などにも店舗がある。カーン・マーケット(Khan Market)のアノーキー(Anokhi)はファブ・インディアよりも高級だが外国人に人気。

 豪華な結婚式衣装が欲しかったら、カロール・バーグ(Karol Bagh)のアジマル・カーン・ロード(Ajmal Khan Road)が専門店の密集地となっている。女性用の豪華なサーリーから、男性用の高貴なシェールワーニーまで、幅広い品揃え。大手有名店は高いが、小さな店はその半額以上に安い。

 また、サロージニー・ナガル(Sarojini Nagar)のマーケットはインドの工場で生産されたブランド物衣料の検品不合格品が大量に流通する市場である。検品不合格品と言っても、ちょっと見ただけでは欠陥が見つからないことが多く、格安でブランド物の衣服を掘り出すことができる穴場としてデリー在住者の間では人気。

■カシュミーリー・ショールが欲しい!

 インドの観光地で必ず遭遇するカシュミーリー・ショール屋。強引なカシュミール人商人に辟易することもしばしばだが、カシミアやパシュミナの名声と共に知られるカシュミール製のショールは、インド土産としてもっともポテンシャルの高い商品であるのは確かだ。買おうと思えばどこでも手に入るが、高品質で良心的価格のカシュミーリー・ショールが欲しかったら、アンサル・プラザ(Ansal Plaza)のシャー・ブラザーズ(Shaw Brothers)がいいだろう。


|| その他 ||

■両替したい!

 パハール・ガンジを含む中央デリー地域に滞在中なら、コンノート・プレイス(Connaught Place)のククレージャー・ストア(Kukreja Store)がもっともレートがよい。他の両替屋といちいち比べなくても、ここのレートが圧倒的によいのは一目瞭然で分かるほど。たまたま両替した2008年5月14日のデータでは、コンノート・プレイスの他の両替屋が日本円現金両替レートとして100円=38ルピー代を提示する一方、ここは100円=39.5ルピーだった。

 だが、デリーでもっともレートのいい両替屋は南デリーにある。マールヴィーヤ・ナガル(Malviya Nagar)地域にある、Dポールス(D. Pauls)である。同日の日本円現金両替レートは100円=39.95ルピーだった。もしコンノート・プレイス周辺に滞在し、少額の両替が必要なら、交通費で相殺されてしまうので、わざわざ南デリーに行くのは得策ではない。だが、大きなお金の両替が必要なら、Dポールスを訪ねる意味はある。ただし場所は分かりにくいので注意。ちなみにDポールスの支店はINAマーケット(INA Market)にもあり、レートは同じである。

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