ティンプーの野良犬がセルビタンをうろつく |
1999年に設立された王立動物保護協会(RSPCA)は、昨年ティンプーから16km離れたセルビタンに、犬の人口抑制のために動物福祉センターを創設した。ティンプーの野良犬は捕獲されて動物福祉センターで去勢、殺虫、予防接種を受け、再びティンプーの街に放されていた。ところがティンプー市民の相次ぐ野良犬に対する苦情によって途中で方針転換され、野良犬はティンプーに放されずに動物福祉センターに収容されることになった。よって50匹の収容能力しかないセンターに700匹もの犬が収容されることになった。だがセンターのフェンスが貧弱だったため、次々と犬が逃げ出し、先週数えたところわずか200匹の犬しか収容所にいなかった。これによりセルビタンの野良犬の数が急増し、近隣の住民たちの不安を増大させている。また、セルビタンに動物福祉センターがあることから、私的に犬をセルビタンにこっそり捨てに来る人もおり、問題を複雑化させている。
【コメント】ブータンの町には野良犬の数がやたら多い。そしてよく吠える。しかし敬虔な仏教国であるブータンには、野良犬を殺すという発想はないようだ。また、ブータンでは犬が最も人間に近い動物と考えられており、犬を大切にすると来世に利益があると信じられている。ブータン人が野良犬にエサをやる姿をよく目にする。 |
アフター・スクール・ビジネス |
ビダ・ワンモとソナム・ワンモは学校が終わった後に仕事をしている。彼女たちは授業後にブータン石油業者エリアへ行って、学校へ行っていない子供たちに混じってドマ(パーン)を売っている。姉妹は父親を助けるためにドマを売っている。彼女たちの父親は交通警察をしており、一月の稼ぎは2、3000ヌルタムである。母親は主婦をしている。
姉妹は毎日200〜250ヌルタムを稼いでいる。5つのドマのパックを10ヌルタムで売っている。週末には彼女たちの売り上げは350〜400ヌルタムまで上がる。
ドマ売りの子供たちにとって、商売は常に競争である。客を見つけると子供たちは競い合って走り、ドマを買うように叫び、せき立てる。小さい子供などは競争のときに転んで踏まれてしまうこともある。そのような熾烈な争いにも関わらず、彼らはお互いに助け合っている。自分の分のドマを売り終わると、他の子供のドマを売るのを手伝うのだ。
「時々腹の立つ客もいる。罵声を浴びせかけて、自動車でひき殺すと脅す人もいる。最初は悲しくなったけど、今では慣れてしまった。」とドマ売りの子供の1人は言う。彼らは悪質なタクシー・ドライバーを最も恐れている。タクシー・ドライバーの中にはドマを受け取ると、金を払わずに走り去ってしまう人がいるのだ。しかし渡る世間は鬼ばかりではない。時々親切な人にも出会う。ドマを買うのでもなく、同情心からお金をくれる人もいるのだ。
子供たちは8時を過ぎると家に帰り、ソナムとビダは11時まで宿題をする。彼女たちは平均的な学生であり、試験に落ちたことは一度もない。
【コメント】ティンプーにはドマを売る子供たちが非常に多い。小さなバケツにドマのパックを入れて、街を歩いていたり、道端に座っていたりする。インドのように乞食が多いわけでもなく、大量の物売りがバス停をうろついているわけでもないのだが、学校にも行かずにドマを売る子供を見るにつけ、ブータンも完全に平和な国ではないことを感じる。 |
コンピューター・ゲーム:ティンプーの最新トレンド |
ティンプーに新しく開店したネット・カフェ、バラックでは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を利用した「カウンター・ストライク」というゲームが流行している。LANを利用した多人数参加型ゲームは他の国では珍しくないが、ブータンでは最新中の最新である。バラックにはティンプーの若者が連日押しかけて、ゲームの腕を磨き、競い合っている。バラックには1日平均65人の客が訪れ、年齢層は7歳から25歳で、全て男性である。30分20ヌルタムで、1人平均1日50ヌルタムを費やしている。
高校生のバスケル・ムカイ君は言う。「ネットワーク・ゲームはプレイ・ステーションなんかとは違って多くの人と一緒にプレイすることができる。だから必ず近い未来に大流行するだろう。」
しかし同じく高校生のナムガイ・ティンレイ君は言う。「ネットワーク・ゲームは一時的流行に過ぎないだろうし、長時間コンピューターの前にいるのは健康によくない。」
親の中にはこう考える人もいる。「私は悪くないと思っている。少なくとも私が知る限り、息子が夢中になって楽しめる場所は他にない。」「子供が勉強をおろそかにしない限り、ゲームをしていてくれた方が他に悪い遊びを覚えるよりかずっとマシだ。」
ビデオ・ゲームによって子供たちが宿題をおろそかにしてしまうことがあるかもしれないが、テレビを見るよりはいいだろう。ゲームをしている間、子供たちは考え、読み、分析し、そして決断している。ビデオ・ゲームは読書やバスケット・ボールよりは好ましくないかもしれないが、子供たちにコンピューターを扱う知識を身に付けさせていることは否めない。世界は高度技術化して来ているのだから、これはいい現象だと言えるだろう。
ちなみにバラックはとても儲かっているようだ。
【コメント】ブータンのような秘境でもコンピューターに対する人々の関心は高く、ネットワーク・ゲームも次第に普及し始めているようだ。まだあまり問題は発生していないようで、親のコメントも非常に呑気だが、近い将来テレビ・ゲームがブータン人の若者にどういう影響を与えるのだろうか。 |
日本のゴミ収集車がティンプーのゴミ収集を改善させた |
4年間でティンプーのゴミの量は8トンから20トンまで増加した。しかし最近になってゴミ捨て場の数は減少し、ゴミ収集が容易になった。これは全て日本の北海道、札幌市から贈られた5台のゴミ収集車のおかげである。5月21日に行われたセレモニーでは、デリーの日本大使館経済局長が出席し、正式に5台のゴミ収集車をティンプー市に寄贈した。市当局は2002年にゴミ収集車を受け取って以来ずっと活用している。デリーの日本大使館はティンプーのゴミ収集車のメンテナンスと輸送のために75,000米ドルを寄付した。
ティンプー市長プンツォ・ワンディは語った。「ゴミ収集車によってドア・トゥ・ドアの収集が可能になり、街のゴミ捨て場の数は次第に減っている。現在当局は市内の80%の地域をドア・トゥ・ドアでゴミ収集している。以前は10−15%ほどでしかなかった。」
ゴミ収集車は効果的に機能しているが、ティンプー市の拡大と人口の増加が障害となっている。
【コメント】今日の朝新聞を読む前に偶然ゴミ収集車を目撃し、日本のゴミ収集車に似ているな、もしかして日本から寄付されたのかな、と思っていたので、タイムリーな話題だった。ちなみにデリーにある日本大使館は、ブータンとの外交業務も兼任している。ブータンに日本大使館はない。 |
ブータン政府のポータル・サイト登場 |
今週、情報技術局(DIT)は政府のオフィシャル・ポータル・サイトを始動させた。URLはhttp://www.bhutan.gov.bt/である。このポータル・サイトは、政府系、非政府系機関、企業、個人問わず、ブータンに関するあらゆるサイトにリンクしている。
【コメント】まだこのサイトを見ていないが、これでブータンに関する情報収集がより容易になるだろう。 |